外敵との戦い

①春先には、越冬したスズメバチ・オオスズメバチ(メス)が巣箱の周辺に飛来し、巣門の近くに降りて様子をうかがっています。そして、ミツバチが油断したすきに瞬時に強力な顎で噛みついて、くわえたまま付近の樹木の枝にとまり、自分の腹を弓なりにまげて毒液を注入して弱らせています。 その後、ミツバチの体を嚙み切って肉団子を作り、自分の巣に持ち帰ります。一日の間に複数回飛来したり、別の日に飛来することもあります。彼女らは、巣箱の位置を記憶していて、同じ場所に戻ってきます。被害にあわないためには、かわいそうですが捕獲して殺処分する以外にありません。 我が家の巣箱の周辺には、アシナガバチも頻繁にやってきていましたが、これには攻撃されていませんでした。攻撃されるときは集団での攻撃もあるようですが、アシナガバチの体を取り囲んだミツバチ達の発する熱で殺すといわれています。

②夏場には、時としてカナブンなどの大きな昆虫も巣門の近くに来ますが、多くの場合、集団で取り囲み噛みついて撃退しているようです。アリ達も巣箱下部に落ちた巣のカスを咥えて運び出していますが、これにはあまり関心がないようです。

③冬場には、アカリンダニがミツバチの気管に寄生することで呼吸機能を阻害します。その結果、飛べなくなったハチたちは地面に落ちて這うことしかできなくなり、ついには死んでしまいます。寄生予防策も講じなければなりません。(写真1)

④もっとも厄介なのはスムシといわれる蛾で、とくに夏場に被害にあいます。成虫が巣箱の中に忍び込み卵を産み付けます。これが孵化して幼虫になると巣板に食害を与えることがあります。小さい幼虫はミツバチたちがやっつけることができるようですが、大きくなって食害がひどくなると巣全体が荒らされた結果ミツバチたちが逃げ出してしまうことが時としてあります。気温が高くなると幼虫の成長が早く被害が大きくなる傾向があります。成虫の侵入や、幼虫の成長を防ぐ工夫も必要です。(写真2)

⑤春先には、南方から渡ってきたツバメが巣箱周辺の上空を高速で旋回して蜜を集めるために行き来している外勤のミツバチを捕獲しています。昼前~夕方にかけて多いときで10羽くらいが入れ替わり立ち替わり飛んでいます。子育てのために必要な昆虫を容易に捕獲できるということでやってきているものと思います。昨今、人参ハウスが多く、エサになる昆虫が得られないこともその理由になっているものと思います。養蜂者としては毎日多くの命が奪われるのは辛いものがあります。

⑥他ミツバチ群が盗蜜のために侵入する場合があります。群の力が強いときは侵入されることはないようですので、群の弱体化を察知する能力をもっているものと思われます。侵入を試みる個体を匂いにより識別し、別群の者だと瞬時に判断して噛みついて追い払います。時として、共倒れで両者とも死んでしまうこともよく観察されます。(写真3)














(写真1) 徘徊するミツバチ

(写真2) スムシの被害

(写真3) 他群の侵入

日本ミツバチの生活(2)